かけこみ乗車は間に合わなかった

 ・・・シュー プ シュ。

 ・・・お下がり下さい。

紺色のコートにその身を包んだ駅員が

京浜東北線のさめ肌によりかかり

赤い旗を振っている

ところ

駅員に制止されながら

都会の駅で、15時半

次の京浜東北線を待つことにした

それにしてもよく動く駅員だ

にがにがしい表情を引き締まった制服に包んで

ホームの幅は10メートルほどか

その10メートルを

 ・・・まもなく 下り列車が参ります・・・

 ・・・まもなく 上り列車が参ります・・・

そのたびごとに往復する

いったい駅員はこのホームを何回横切っているのだろう

 ・・・ちゃぷぷん

右も左もこぼれそうなフラスコの水が揺れている

・・・・わたくし 心配で しんぱいで・・・・

とがった肩の駅員が

ホームに沿ったみえない両端の壁に手を触れる

あっち こっち こっち あっち

壁をはさんで もう何往復

あんまり駅員が歩くから 

ホームには駅員が横切った足跡が焼き付いている

 ほんとうは 駆け込み乗車も 間に合わなくて 良かったのです

 ここでこうして

 駅員の背中を見つめていられる

 駅員の向こうに夕陽が輝いて

 駅員の髪の毛や帽子のりんかくが

 夕映えの色にふちどられているのが

 みえます

 逆光のラインアート

 駅員の、駅員であるところが、浮き上がる・・・・

 

 ・・・あ、

 と気がついた

 もしかしたら、駅員の向こうに夕陽があるということは・・・

 と、足元を見る

 すると、わたしの足元には 

 駅員の細長い影の髪のあたりが

 届いて いた

 ああ、駅員の影が わたしのブーツに 触れている・・・・

 15時半のざわめく駅

 京浜東北を待つかすかなすきまに

 太陽と駅員とわたしが

 一列になって

 みえない約束で

 つながれて

 いた

 ・・・おい こりゃ 駅員と私の間に立つな そこの学生!

◆   ◆

 土日はそれなりに仕事でした。人と人との出会いって、なんて貴重なことなんだろうって思います。傷つくこともあるけれど、人と人が出会うことは、いいことだ。と、わたしはあまり社交的でないので、あえてそんなことを思っています。

 成人の日は仕事でもしようかと思いましたが、やっぱりやめて、いろいろ小さな旅を楽しもうと思います。